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【DX白書2021】業界の動向をおさらいしてみた

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IT業界にいると情報が自然と入ってきたりであらためてしっかりと読むことはなかったのですが、IPA発刊の【DX白書2021】を読み込んでみました。

本当に妻がIT業界に転身できるかはまだわかりませんが、今後の進路を考えるにあたっての情報収集の一環です。

本記事はIT業界初心者、これからIT業界を目指そうとしている人に向けて書いています。

IPAとは?

IPA(Information-technology Promotion Agency 情報処理推進機構)はITに関する情報発信やITパスポート試験などを運営している独立行政法人です。

https://www.ipa.go.jp/index.html

これまでIPAでは【IT人材白書】という名称で業界の分析・発信していましたが、2021年から新たに【DX白書】が発刊されたようです。

DX白書にはどんなことが書かれているのか?

こちらのページでPDFを無料でダウンロードできます。

2022年2月10日から電子書籍版でも無償販売をされています。

https://www.ipa.go.jp/ikc/publish/dx_hakusho.html

総論から始まり、DXの取り組み状況(日本とアメリカの比較)や、アンケートに回答した企業がどのようなIT人材を求めているか、DXを支える手法と技術などが掲載されています。

書かれている内容から以下のような人達向けかなと思いました。

・現時点でIT業界にいる人

・IT系ではない事業会社でDXに関わっている人(会社)

・DXにこれから関わる/関わりたい/始めたい人(会社)

・IT業界への就職を考えている学生

PDFだと396ページあったので、経営層など時間のない人向けに要約されている「エグゼクティブサマリー」もあり、こちらは20ページ程度です。

そもそもDXって何?

DX(DigitalTransformation デジタルトランスフォーメーション)は

ざっくり言うと、

『ITの力を使ってビジネスに変革をもたらそう』とする概念です。

ビジネスに変革、というのもいろいろあって

・いままでやってなかった新しい事業で利益を出そう

・既存のサービスに新しい価値(付加価値)をつけていこう

というものがあります。

たとえば、新しい顧客体験(CX)をあげると、習い事とかはこれまで対面でのサービス提供が当たり前だったけど、オンラインツールを使って非対面でも既存のサービスを提供できるようになりました、というイメージです。

これによって顧客側も教室に行くことなく自宅でもほぼ同じサービスを受けられるようになり、移動の手間が省けるし、大人数が入れる部屋を用意しなくてもいいので企業側もサービスを提供するためのコストが下がってWin-Winだったりします。

業務の効率化や自動化のようにこれまで人がやっていた作業をシステムに置き換えるだけ、というものではなく、ビジネスとそれに関係する仕組みや人がITの力で「変身」していこうということです。(業務の効率化や自動化 も『DXの一部』という名目でIT投資がされているところもありますが…)

何年か前から言葉としては出てきており、2020年からの世界情勢で事業を継続させるために半ば強制的に広まった雰囲気もあります。

DX白書2021を読んで思ったこと

ここからはDX白書2021を読んで個人的に思ったことを書きます。

あくまでIT業界に10年いる人間の感想&周りのIT業界の知人から聞いた情報を参考にしています。

僕の場合は、以下の点に注目しました。

・日本とアメリカの実態と意識の差

・スキルを身につけさせる環境、スキルに見合った処遇

日本とアメリカの実態と意識の差

DX白書2021の序盤はDXの取り組み状況をいろんな切り口で日本とアメリカを比較しています。

パッとみた感じだと「全社的にDXに取り組んでいます!」という比率はどの切り口でもアメリカの方が多い印象です。

僕がおもしろいなと感じたデータは、

1)外部環境変化の影響

DX戦略を策定していくにあたり、自社をとりまく環境の要因は何が大きい?それに対応している?というアンケート結果です。

とりまく外部環境、というのは

①パンデミック

②ディスラプターの出現

③技術の発展

④SDGs

があってそれらに対して、

A.めっちゃ影響あるんで最優先で取り組んでいます。

B.影響あるんで対応しています。

C.影響あるんで検討しています。

D.影響があるかを検証しています。

E.影響ないです。

と5段階で集計しています。

②以外はA~D(最優先で取り組んでます、から影響ありそうだからまずは調査中です、の回答)は日本が多いのですが、②についてはアメリカの方が多いです。

②のディスラプターとは既存の業界の秩序をテクノロジーで破壊していくプレーヤー(ベンチャー企業とか)の意味です。

日本の中でそういったプレーヤーが大きく台頭していないためなのかはわかりませんが、今後、テクノロジーがさらに進歩し、新しいビジネスを立ち上げるスタートアップがより増えたときに、この数字がどう動くのか次のレポートが気になるところです。

2)IT人材に必要なスキル

こちらは企業変革を推進するリーダーに必要なスキルで重視しているのは何ですか?という質問です。

アメリカでは

・顧客志向

・業績志向

・テクノロジーリテラシー

が多いのに対し、

日本では

・リーダーシップ

・戦略的思考

・実行力

・コミュニケーション能力

という結果になっています。

うまい言い回しができないのですが、なんとなく「日本人っぽいな」と。

日本ではテクノロジーリテラシーが重要、と考える回答もアメリカと比べてだいぶ低いです。

また、上記のような可視化しづらい個人スキルだけが高くても、全社的なDXの取り組みはリーダーが疲弊し、作りたいものは外部任せになってしまうのではうまく回らないのではないか、と思いました。

一方で、優秀なプログラマーやエンジニアを抱えることができたとしても、プロジェクトをけん引できるリーダーがいないと進まないのも事実です。

スキルを身につけさせる環境、スキルに見合った処遇

IT人材に必要なスキルと似た話になりますが、人材育成・評価に関する数字においても

・社員の学び直しの場

・変革を担う人材の評価するための基準

を設定している企業の比率が日本とアメリカで差があります。

要はアメリカと比較して、日本ではDX推進のための社員の再教育やスキルの評価基準が不十分なところが多い、という感じです。

もちろん重要なスキルではありますが、リーダーシップやコミュ力が最重要視されている限りは、教育の土壌やフェアな評価基準は作ることがそもそも難しいのかな、と思います。

逆に、IT部門以外(営業部門やバックオフィス部門)の人材のITリテラシーをITパスポート合格のレベルくらいに底上げすることができれば、その会社のDXの取り組みはスムーズにいくのになぁ、と妄想しています。

そのための教育にかかる準備や評価規定の見直しなど、会社としてのコストがかかりますすし、そのコストを長期間かけるのであれば、作りたいもののイメージを伝えて外部コンサルタントやシステム開発会社に請け負ってやってもらいたい気持ちもわかります。

まとめ

久しぶりにしっかり読んでみましたが、特にレポートの合間にあるDXに取り組んでいる大手企業のコラムなどはリアルでおもしろかったです。

しがないSEが何様だ、という感じですが、日本のDXはまだ伸びしろがあるように見えましたし、伸ばすためには会社・人の「変身」もあらためて必要なんだなと感じました。

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