前回は妻にざっくりとしたIT業界の全体像と職種の説明をしました。
その中で妻の質問。
会社に入って経験積むよりもフリーランスで働いた方がいろいろ都合いいんじゃないの?
たしかにフリーランスの方が時間の自由度とか収入が高いように見えるけど、個人的には最初は何かしらの形で会社に所属して実績を積んだほうがいいと思ってるよ
今回はプログラミング言語をある程度学んだ人がどのようにキャリアを積むことで安全に成長できるのかを書いています。
夫のプロフィール:
30代の現役システムエンジニア。IT業界に入り十数年。 クライアントへの企画提案、少しコンサルティング、PM、要件定義・設計・開発・テスト、保守・運用まで一通り経験しています。 詳細な経歴はこちらから。
フリーランスと派遣社員だとどちらがいいの?
フリーランスにせよ派遣にせよ、個人的には数年間は勉強してコツコツ実績を積みましょう、です。
今回は以下のような近い将来の妻のイメージで考えてみます。
- 書籍数冊分、もしくはプログラミングスクールで一定期間プログラミングを勉強
- ポートフォリオとして複数のWebサイトを作成したが実務経験はゼロ
- 自分のライフスタイルにある程度仕事を合わせたい(フルリモート、時短勤務など)
ちなみに新卒や第二新卒など20代の若いうちは正社員としてさっさとIT企業へ入社することをお勧めします。
新卒採用はポテンシャル採用が多いため、入社して研修期間を経て案件に配属された方がスキル・経験を積むことができます。
メリット・デメリット
それぞれのメリット・デメリットは以下のような感じ。
フリーランスとして働いている知人やSES企業に営業として勤めている知人からいろいろと話を聞いてみました。
仕事の見つけ方(例) | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
フリーランス (個人事業主) | クラウドソーシング・ SNSの利用 | ・働きたいときに働ける ・案件次第では一人でもできる (余計な人間関係の構築が不要) ・案件次第では掛け持ち可能なので 効率よく仕事すれば収入を 一気にあげることができるかも | ・受注した仕事は全て自分の責任 ・営業、応募を自分で行う必要がある ・クライアントによって当たり外れあり ・仕事が取れないと収入がなくなる |
フリーランス (個人事業主) | SES企業に登録 | ・研修や人材育成のメニューがあるところも ・長時間労働などが発生した場合、 管理しているSES企業が守ってくれる(かも) ・営業活動が不要 ・個人事業主なので他の時間は 堂々と(?)副業ができる | ・基本的には案件紹介型なので、 自分の希望(時間・金額など)と マッチする仕事を見つけることが難しい ※スキル・経験が増えれば選べる ・SES企業の当たり外れあり (研修が研修じゃなかったり) ・仕事が回ってこないと収入がない |
派遣社員 | 派遣求人に応募 | ・時給での給与支払いがほとんどなので、 安定した収入を得ることができる ・時短勤務などが選べる ・営業活動が不要 ・受入れ先のフォローあり | ・時給なので会社の勤務時間に 合わせる必要がある ・フリーランスや正社員と比べると 収入が下がることがある ・派遣会社によって当たり外れあり |
フリーランスのポイント
スキルも実績もあって太いクライアントがいればフリーランスでも長期の安定した収入を得ることができます。
しかし、IT業界未経験の人がちょっと勉強してすぐに仕事がうまく獲得できる可能性は低いです。
クライアントの立場になったときに、優秀な人と未経験の人、どちらに自分の大事な仕事を任せるか、といったら金額が同じであれば当然実績のある人に任せたいですよね。
納期が長期かつクライアント側も安くおさえたい、という案件であれば未経験でもOKな仕事もあるかもしれませんが、クラウドソーシングのサイトを眺めていると、周りに頼れる人がいなければすべてを自分でやらなければならないので、未経験に人にとっては辛いことになるかもしれないです。
また、クライアントによってはITリテラシーにばらつきがあり、人によっては単価のわりに無茶ぶりな仕事を出していたり、そもそもどういうものを作りたいか、というイメージがぼんやりしているので要件のすり合わせに時間がかかったりする可能性もあります。
SES(システムエンジニアリングサービス)企業に登録して案件が紹介されるまで待つ、という方法もありますがこちらも一長一短です。
登録したSES企業によって紹介される案件や待遇が異なりますし、クラウドソーシングなどを使って仕事を受けるスタイルよりも自由度は下がります。
フリーランスは自由に仕事ができる、というイメージを持っている人も多いかと思いますが、自分の都合通りに仕事をして収入が得られるというものばかりではありません。
派遣社員のポイント
派遣での仕事は時給ベースがほとんどなので、安定した収入を得られます。
仕事もスキルに応じて受入れ先の会社から割り当てられるので、無茶ぶりやスキルに見合っていない仕事が降りてくることもほとんどないです。(作業内容も決まっていることが多いです。)
仕事でわからないところがあっても周囲のフォローを得ることができますし、正社員登用の機会もあります。
一方で、正社員などに比べると福利厚生や給与面で下がることがありますし、時短勤務などの選択肢はありますが、フリーランスと比べて時間の融通がきかないこともあります。
失敗しないIT業界への転身方法
前提として、IT業界で働き続けるためには実績と学習を重ねていくことが必要です。
冒頭のモデルケース(妻のような人)であれば、以下のような進め方がよいのではないでしょうか。
フリーランスの場合
クラウドソーシングやSNSを使う場合。
- クラウドソーシングのサイトに登録/SNSで自己PR、仕事を募集している人を探す
- 比較的長い納期、低単価かつ簡単な仕事を探して応募
- 学習しながら受注できた仕事を納品
- 2と3を繰り返し、実績と技術力、クライアントからの信頼を得る
- 少し仕事の難易度を挙げてみる
- 営業と受注と学習のくりかえし
いざとなったら助けてくれる師匠やメンターを見つけておきたいです。
特に上記2で最初は案件のボリュームや難易度を的確に判断してくれる人がいた方がいいです。
大学や専門学校で情報工学(プログラミング)などを専門的に勉強していた人でないと独学では厳しい道だと思います。
派遣社員の場合
- 未経験OKのIT業界の仕事に応募してみる
- 学習しながら仕事に取り組む
- 経験を積んで、新しいことをしたくなったら(派遣期間が終了したら)ほかの仕事を探してみる(居心地良ければ継続しても正社員になってもOKかと)
自分がイメージしていた仕事とのギャップもあります。
一度入ったからと言って無理して続ける必要はないと思います。
経験と実績を積んだ後は…
数年単位で途切れることなく学習と実務を積み重ねれば、フリーランス・派遣を続けるだけでなく、事業会社のIT部門やITを事業としている会社への正社員としてのキャリア採用も選択肢としては出てきます。
中途入社への道としては、入りたい企業の中途採用枠を調べるか、転職エージェントへの登録があります。
IT業界はこれからも人材不足が続くので、スキルさえ身につけることができれば売り手市場に自分をアピールできることになります。
まとめ
他の専門的な仕事(医者・弁護士・会計士など)と比較すると、お金の面でも時間の面でも低コストで始められるIT業界の仕事です。
ただし、クライアントの仕事を引き受ける以上は経験と知識が問われて、それなりに食べていける収入を得られるには時間を使い、自己投資をする必要があります。
実務経験を積むハードルが他の専門職よりも低いことも事実ですので、自分ができることを着実に進めていき、キャリアアップを目指しましょう。
どっちにしてもまずは勉強、勉強ってことね、頑張る
小さなことからコツコツとだね